お子さんの成績が志望校の合格ラインに達していない方に、娘の経験が何かのヒントになればと思い、この体験記を書かせて頂きます。

 四年の夏に名進研に入会し、娘がずっと憧れ、第一志望にしていたのが金城学院中学校でした。娘なりに頑張り、五年時は40台後半の偏差値を維持できていたものの、六年時は膨大な勉強量について行けなくなり30台に落ち、六年後期のプレ中学入試平均偏差値は33で合否判定はすべて20%未満。名進研過去三年のデータを見ても、この偏差値で金城に合格された方は一人もおらず、合格はもはや絶望的。そんな状況をどうすることもできないまま、受験シーズンを迎えてしまいました。

 最初に受験した第三志望の学校からは、無事に合格をいただきヤル気は上向きましたが、金城学院中の本番まで二週間を切っていました。もしも合格できる可能性が1%でもあるなら、限られた時間の中で何ができるかを考えました。

 過去の入試データでは合格者平均点や受験者平均点に目が行きがちでしたが、合格最低点も載っており300点満点で140点ほどでした。五割取れば十分合格圏内です。そこで目標を「合格最低点」に切り替え、苦手の国語で40点、算数は60点、理科社会で50点という目標を設定しました。全科目上手くいけば、娘の学力でも全くあり得ない数字ではないと思えました。

 勉強時間確保と感染防止対策のため一月は小学校を全休しました。やり残した過去問や名進研の基本問題をやり、難問や新しいものには手を出しませんでした。金城学院中プレ入試の保護者会動画の傾向と対策も参考にしました。国語は長文問題の時間配分を何度も練習し、算数では出題傾向をもとに、捨てる問題を予め決めておく大胆な作戦をたてました。

 金城学院中の入試前夜、娘から「明日が楽しみ‼」と、模試の前ですら聞いたことのない言葉が出てきて驚きました。当日の試験後も清々しい顔で「今日は楽しかった‼」と言うので、相当の手応えと達成感があったようでした。

 数日後、Webの合格発表は無情にも「不合格」が表示されました。親としてもとても落胆しましたが、憧れの学校に入学できないことがわかった娘のショックは想像以上でした。まだ第二志望の入試が残されており、それまでの数日間は最後の頑張りどころでしたが、ショックを引きずったまま望んだためか第二志望も不合格となり、長かった娘の中学受験は残念な結果に終わってしまいました。

 第三志望の学校に入学金を振り込み、前を向いてまた頑張っていこうと話した翌日、金城学院中からまさかの追加合格のお電話をいただきました。最後の最後での大逆転劇に驚き、喜び、泣きました。運も味方したとは思いますが、長い間コツコツと頑張り、本番で自分の持てる力を最大限に発揮し、第一志望の合格最低点にギリギリ届いた娘の努力を誇らしく思います。憧れの学校で中高六年間の学生生活を思いきり楽しんでほしいです。

 志望校合格に必要なのは、より高い偏差値でも合格者平均点でもなく、合格最低点です。最後まで諦めずに頑張ったことで合格を勝ち取ることができました。生徒一人ひとりに向き合い、最後までご指導くださった名進研の先生方には、大変感謝しています。

 ありがとうございました。